はじめに
近年、「エシカル消費」というキーワードへの関心が高まっています。
英雑誌「Ethical Consumer」によると、英国のエシカル消費市場は年々成長を続けており、2019年時の英国のエシカル消費市場は約440億ポンド(約6.7兆円)にも達しました。
日本でも、エシカル消費に対する関心は年々高まっています。ある戦略コンサルティングファームの調査では、消費者全体の75%がサステナブルな商品に対してプレミアムを支払う意欲があることが明らかになりました。
本記事では、エシカル消費の基本的な知識から実践方法まで、分かりやすく解説します。
そもそも、エシカル消費とは?
エシカル消費とは、消費者が自身の消費活動が社会や環境に与える影響を考慮し、より良い影響をもたらす製品やサービスを選択する消費スタイルのことです。つまり、自分自身の満足度だけでなく、社会全体の持続可能性も考慮して製品を選ぶことが、エシカル消費の基本的な考え方になります。
日本の消費者庁は、エシカル消費を「消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと」と定義しています。
エシカル消費の始め方
それでは、エシカル消費を始めるには、どのようなステップで取り組めばよいのでしょうか?ここでは、これからエシカル消費を始める方に向けて、そのステップを紹介します。
1. 使っている製品で、買い替え時のものがないかチェックしてみる
エシカル消費を始めるための最初のステップは、現在使用している製品の中で買い替え時期が近いものがないかチェックすることです。
例えば、以下のようなケースが考えられます。
- 食器用洗剤や歯磨き粉の残量が少なくなってきた
- ティッシュやトイレットペーパーの替えがなくなってきた
このようなタイミングは、エシカル消費を始めるのにぴったりです。
一方で、次のような場合は、エシカル消費に取り組むのをもう少し待ってみてもいいかもしれません。
- 現在使用中の製品がまだ十分に残っている
- 買い替えたり、買い足したりする必要が今のところない
エシカル消費を始めるために、使っている製品を無駄に捨てたり、使うのをやめたりしては本末転倒です。今使っている製品をしっかりと使い切り、次の製品を選ぶタイミングでエシカルな選択肢を改めて検討してみるのが良いでしょう。
2. どのような選択肢があるのか探してみる
もし、ちょうど買い替えや買い足しが必要な製品が身の回りにあれば、どのような選択肢があるか探してみましょう。 エシカルな製品は、下記のようなチャネルで見つけられます。
- エシカルな製品を取り扱うオンラインショップやセレクトショップ
- スーパーやドラグストアの特集コーナーや一般売り場
- 企業のサステナビリティレポートやプレスリリース
これらのチャネルを探してみることで、自分の価値観にマッチするエシカル製品を見つけることができるでしょう。
また、エシカル製品に特化したwebサービスを活用するのも選択肢の一つです。
エシカルデータ検索サービス「Deeder」では、150種類以上の製品をラインナップし、それぞれの製品のエシカルデータをAIでスコアリングした「エシカルスコア」を提供することで、製品のエシカル度を「見える化」しています。
Deederを活用すれば、あなたの価値観にピッタリな製品がきっと見つかります。ぜひ一度試してみてください!
3. 実際に製品を購入して、使ってみる
自分の価値観にマッチするエシカル製品を見つけることができたら、早速購入して使ってみましょう。
これまで使用していた製品と比べて、機能性や品質はどうか、使い心地は自分に合っているかなど、実際に使ってみることでさまざまな発見があるかもしれません。
特に、他の製品では感じられないような「社会や地球に貢献しているぞ」というちょっとした充実感は、エシカルな製品を使ってみないと中々体験することのできない、エシカル製品ならではの価値と言えます。
ただし、すべてのエシカル製品が自分に合うとは限りません。実際に使ってみて、機能性や使用感に不満があれば、別の製品を探すことも必要です。
大切なのは、自分の価値観に合ったエシカル性を備えているだけでなく、製品自体の機能性や品質と価格のバランスにも納得できる製品を見つけることです。
4.消費体験を振り返ってみる
エシカルな製品を実際に使ってみた後は、その消費体験を振り返ってみましょう。
これまでの消費体験とは異なる心地よさや貢献感から、「次回、他の製品を買い替える際にもエシカルなものを選んでみよう!」と思うかもしれません。
一方で、「エシカルな製品を試してみたけれど、やはり自分にはしっくりこないな」と感じることもあるでしょう。
もし初めて取り組んだエシカル消費があなたにとって素晴らしい体験になったのなら(そうなることを願っています!)、他の製品の買い替え時にもエシカルな選択をすることを検討してみてください。
また、エシカル消費に取り組む上で役に立ったサービスや使ってみて良かったエシカル製品を身の回りの人におすすめしてみるのもいいかもしれません。
エシカル消費の実践例
ここまで、エシカル消費の始め方について紹介してきましたが、実際見にどのような製品を購入することがエシカル消費の実践につながるのでしょうか?
ここでは、洗濯洗剤を例にとって具体的にどのような観点で製品を選ぶことがエシカルな消費スタイルの実践につながるのかを紹介します。
観点①:健康リスクの低い製品を選択する
エシカル消費の重要な観点の一つは、自分の健康に配慮した製品を選ぶことです。その代表例として、無添加洗濯石けん「シャボン玉石けん スノール」が挙げられます。
この製品は、健康や環境への悪影響が懸念される蛍光増白剤、香料、着色料、酸化防止剤、合成界面活性剤を一切使用していません。代わりに、天然油脂を釜炊き製法で職人が丁寧に仕上げることで、肌にやさしく、刺激の少ない無添加石けんを実現しています。
無添加であることは、アレルギーや敏感肌などの皮膚トラブルを引き起こすリスクを減らすことにつながります。実際に、「シャボン玉スノール」は日本アトピー協会の推薦品であり、敏感肌の方やベビー服にも安心して使用できます。
このように、無添加かつ自然由来の成分を含んだ製品を選ぶことは、自分の健康だけでなく、周囲の人々への配慮にもつながるエシカル消費の重要な一例です。
観点②:環境に優しい製品を選択する
エシカル消費の重要な側面の一つは、環境に配慮した製品を選ぶことです。その一例として、再生可能エネルギーを積極的に活用し、CO2排出量削減に取り組んでいる製品を選ぶことが挙げられます。
例えば、ライオンの洗濯洗剤「ナノックスワン PRO」は、高い洗浄力と消臭力を備えながら、環境負荷低減にも貢献する製品の一例といえるでしょう。
ライオンは、2030年までに事業所活動におけるCO2排出量を2017年比で55%削減することを目標に掲げ、省エネルギー活動や再生可能エネルギーの活用に力を入れています。
そのような取り組みの結果、国内の全工場と新本社で使用する電力を再生可能エネルギー100%の電力メニューに切り替えを達成しました。つまり、「ナノックスワン PRO」は化石燃料ではなく風力や水力といった再生可能エネルギーを由来とする電力のみで製造されています。
このように環境負荷の低減に向けた努力を行っている企業の製品を選ぶことで、私たち消費者は自分の消費活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献することができます。
観点③:社会的責任を果たしている製品を選択する
エシカル消費を実践する上で、企業の社会的責任に着目することも重要です。その一例として、売上の一部を環境保全や社会貢献活動に寄付している製品を選ぶことが挙げられます。
サラヤの「ヤシノミ洗たく洗剤」は、高い洗浄力と肌へのやさしさを両立した製品であると同時に、売上の1%を原料生産地のひとつであるマレーシア・ボルネオ島の森や動物を守る活動に寄付しています。
これにより、消費者は日常的な洗濯を通じて、間接的に環境保全活動を支援することができます。
また、「ヤシノミ洗たく洗剤」は、持続可能なパーム油の生産を認証するRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)の認証マークも取得しています。これは、同製品が環境と人権に配慮して生産された原料を使用していることを示すもので、企業の社会的責任への積極的な取り組みを表しています。
このような企業の社会的取り組みを評価し、積極的に支持していくことで、より多くの企業がこうした社会貢献に力を入れるようになり、社会全体の持続可能性の向上に貢献することができます。
エシカル消費に関する誤解と注意点
エシカル消費を実践する上では、注意すべきポイントや誤解も存在します。ここでは、エシカル消費を実践するために知っておくべき点を3つ紹介します。
グリーンウォッシュに惑わされない
エシカル消費への関心が高まる中、一部の製品が実際には環境や社会に配慮した製造プロセスや原材料を使用していないにも関わらず、あたかもエシカルな製品であるかのようにPRすることがあります。
このようなマーケティング手法を「グリーンウォッシュ」と呼び、すでにエシカル消費が浸透してきているヨーロッパなどではすでに顕在化した問題となり、法整備が進められています。
グリーンウォッシュに惑わされないためには、マーケティングメッセージやブランドイメージではなく、透明性の高い情報をもとに製品のエシカル性を判断することが重要です。
とはいえ、そのような取り組みを個人単位で続けていくのは大変な労力がかかります。
エシカルデータ検索サービス「Deeder」では、エシカルスコア算出のプロセスで透明性の高いデータ内容を高くスコアリングするアルゴリズムを採用しているだけでなく、実際にスコアリングの対象となったエシカルデータについても製品ページで簡単に確認でき、透明性の高いエシカル消費体験を提供しています。
こうしたツールを活用することも、適切な製品を選ぶために効果的な方法です。
エシカルな製品は必ずしも高価ではない
エシカルな製品は一般的な価格帯の製品よりも高価であると思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。エシカル性の高い製品の中にも、お手頃な価格で販売されているものはたくさんあります。
例えば、先述の「ヤシノミ洗たく洗剤」は、環境に優しい成分を使用していたり、売上の一部を寄付に充てたりと、非常にエシカル性の高い製品でありながらも、手頃な価格で販売されています。
「ナノックスワン PRO」についても、再生可能エネルギーに由来する電力のみで製造されている製品でありながら、その価格は非常にリーズナブルになっています。
完璧を目指さず、できることから始める
エシカル消費を実践しようとすると、自分の消費スタイルのすべてを見直さなければならないと考え、挫折してしまう人もいるかもしれません。しかし、エシカル消費は完璧を目指すものではありません。大切なのは、心地よいと感じられる範囲から始め、継続していくことです。
まずは、自分の価値観に合った製品を探してみることから始めてみるのがいいでしょう。環境保護に関心があれば、環境に優しい素材でパッケージングされている製品を、化学物質などの添加物に特に関心が強い場合には無添加な製品を選ぶといったように、人によって価値観は様々です。
エシカルデータ検索サービス「Deeder」では、スコアリング項目を分類しているので、自分の価値観にマッチした製品を見つけるのに役立ちます。例えば、「動物実験を行っていない、1,500円以下の柔軟剤」のような複雑な条件でも、フィルター条件の掛け合わせで簡単に見つけられます。
Deederで興味のある製品を探してみて、もしも自分の価値観にマッチするようなものがあれば、それを購入して使ってみるところから、無理なく取り組みを始めてみるのがいいでしょう。
おわりに
本記事では、エシカル消費の概要を説明した後、具体的にどのようにエシカル消費に取り組み始められるのかについて解説しました。
この記事を参考に、あなたもエシカル消費を始めてみませんか?
最後までお読みくださり、ありがとうございました!